
U・・・上田巨樹氏
W・・・wine-navi インタビュアー 石井
【第3話 - 最終話】
W:ボルドーの値上がりについてはいかがでしょう?
U:ボルドーすごいですよね。ボルドーの値上げの影響でブルゴーニュまで上がってるというのもあるでしょうね。特に有名生産者はプライドとかの問題もありますし。
これは業界の中ではかなりマイナーな意見だと思いますが、ボルドーのトップシャトーの価格は私はバブルではないかと思ってます。
よく言われることですが、ロンドン、スイス、ベルギー、オランダ、フランス、などのいわゆる並行モノで扱うワイン商とか、
そういうところの間のインターマーケットでそれぞれがちょっとづつ利益を取ってグルグル回ってるというような面もあるようです。
まあこれはボルドーだけじゃないですけど、誰かが最後にババを引いて終わると考えるのが普通じゃないでしょうか。
あとワインファンドの影響も大きいみたいですし、他にも多々要因があるとは思いますが、どっちにしても私はこのままは続かないと思っています。
でも、2005もすごく売れているみたいですし、ボルドーワインビジネスに造詣の深いプロの方々と話しても、別にバブルではないという見方の方が多いです。
それに私のこういう予想、当たったためしはありませんので。笑
W:よくいわれているロシア、中国、インドなどはどうでしょう?
U:ロシアは確かによく聞きます。ボルドーの有名シャトーなどを凄まじい勢いで買い漁っていると。
中国は、個人的には巷でよく言われているほどには聞かないですね。中国がボルドーを買いまくっているというのはほんとかな?と思います。
W:先日某百貨店のバイヤーの方のお話では香港、シンガポールとかの華僑の方が買っているとか。
U:なるほど、華僑も含めた中国人ということかもしれませんね。
W:御社のオススメワインは?
U:定番でやっているルー・デュモンとルイ・シュニュはやっぱり間違いないです。でも・・・正直全部オススメです。
W:他社さんのオススメはありますか?
U:モレ・サン・ドニのアルローはいいですよね。
W:おーみなさん最近おっしゃいますね~。
先日ヴァンパッションの川上さんとヌーヴェルの寺田さんがいらっしゃった時に、川上さんがアルローを随分薦められてましたね。
U:ぜひ一緒にこの辺のモレ・サン・ドニを盛り上げていければ最高ですね。
W:普段はどんなものを家とかで飲まれてますか?
U:最近は日本酒にはまってます。笑
日本酒はそんなに知っているわけじゃないのですが、今、なんとなく日本酒も新ブルゴーニュと同じような動きがあるような気がするんですよね。
池袋にすごいこだわりの酒屋さんがあって、大将にいろいろ教えてもらいながら買って帰るんですが、そこでお勧めされた雅山流の如月にはまっています。
最近は日本酒はこればっかり飲むようになってしまいました。笑
これを読んでくださった方で美味しい日本酒をご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください!笑
ただ、高いものやレアものを言い始めればきりがないですし現実的じゃないので、とりあえず一升瓶で小売価格3500円くらいまでお願いします。笑
あとは、宣伝じゃないですが、うちでやってるイタリアのワインを家でよく飲みますね。値段安いんです。笑
イタリアワインの話は今日全然できませんでしたが、これも新ブルゴーニュとまったく同じような動きなんです。
イタリアも世代交代とかをきっかけとして、ピュアで上品なものがたくさん生まれてます。ウチのラインナップはほとんど地場品種のものなんですが、だからこそイタリアワインらしい美味しさを実感していただけると思いますし、むしろ、イタリアワインを敬遠しておられる方とか、ブルゴーニュが好きな方にこそ普段飲みのワインとしてオススメしたいですね。
それと、イタリア料理に合わせる時は、なんやかんやいってもやっぱりイタリアワインがうまいと私は思います。
W:経営の話になってしまいますが、会社としてははこれから拡大していくのでしょうか?
U:大きな増資とかベンチャー・キャピタルとかは考えていないんですけど、もっと経営を安定させるためにも、成長させたいです。
ただ利益を少しずつでもきちんと留保して、それをまた再投資して、というように、堅実な形で成長していきたいと考えています。
W:ヌーヴェル・セレクションさんとヴァンパッションさんは新興インポーターの中で勢いのある勢力だと思うのですが、経営のやり方が全く対照的で見ていて面白いですね。
U:アプローチの仕方や方法論とかは違うのかもしれませんが、川上さんはスゴイと思います。時々ブログとか読ませていただいてますけど、共感できることも多いですし、勉強させていただいてます。
W:最近日本のワインがマスメディアに取り上げられることが多いですが、どう見てますか?
U:応援したいです。同じ日本人ですし。ユーロ高も関係ありませんしね。笑
実はウチもご縁があれば日本のワイナリーを扱いたいと思ってます。
フランスで修行された若い造り手さんも多いし、私たちと同じようなヴィジョンとか考えをもっていらっしゃる方もおられると思うので、もし、日本のワインでよく言われる掛け率の問題とかが誰にとっても良い形で解消でき、私たちでお役に立てるのであれば、今すぐにでもやりたいと思っています。もしそういう方をご存じでしたらご紹介ください。
W:じゃぁ募集ここでしますか!笑
U:日本のワイン造りの現場はまだほとんど存じ上げないのですが、まったく個人的な感情として、日本のぶどうがいいですね。
甲州はもちろん、ベリーAとか、ヤマ・ソーヴィニヨンとか、ブラック・クイーンとかですかね。
ワインメーカーさんからするとまた違うのかも知れませんし、それこそ日本の気候風土に合うのはメルローやシャルドネだ、というような考えが主流で本質的なのかなとは思うのですが、やっぱり日本人として、日本のぶどうも大事にしたいです。外部の勝手な意見ですが・・・いずれにせよ応援したいです。
あとは他の果物で何かできないかなと思ってます。かなり美味しくないとダメだと思うのですが。果物として売った方が利益になるような気はしますけど。笑
W:日本で余るほどできているような果物じゃないと難しいですかね。
U:そうですね、余るほどできて、しかもかなり美味しいもの。スパークリングとかいいかなと。
W:リンゴとか?
U:いいですね。リンゴと言えば、フランクフルトのアップルワインて飲んだことあります?
フランクフルトの名物だそうで、確かEUのワイン法でアップルワインをはずそうという議論が多かったのに、こないだ残ったと。
私飲んだことなくて、今仲田さんに何本か入手してくださいとお願いしてるんですよね。入手できたら一緒に飲んでみましょうね。
ワインは別にブドウじゃなくてもいいわけで、イチゴワインとか美味しそうじゃないですかね?反応がよくないな。・・・やっぱりワインはブドウですよね。笑
W:何でインポーターやってるんですか?その原点といいますか。
U:元々は大学がスペイン語学科で、ワインというよりも中南米に興味があったんです。
前の会社でチリワインをやってた頃ちょうどチリワインブームになって、チリに駐在させていただけたんですね。
で、チリのワイン業界はすごく狭いですから醸造家とかワインショップのスタッフとか、ソムリエさんとかみんな知り合いになって、いろいろワインを飲ませてもらったり、畑で働く人の姿勢に感動したりして、そこでワインの仕事が好きになったんです。
それで、そうなった以上、チリワインはひとつのインポーターが1社か2社のワイナリーとがっちり取引するという感じでバイヤーの仕事に限りがありますので、もし会社の方で使ってもらえるのなら、フランスとかより大規模な仕事ができるところにいきたいということで、フランスに駐在させていただけることになりました。
W:意外ですね。チリからなんですね。
U:はい。サンティアゴを拠点にして南アフリカとか、アルゼンチンとかも出張してましたし、今でもチリとか新世界のワインには強い思い入れがありますね。
W:いつかそのへんもやるんですか?
U:そうですね、ユーロ高やフランスワインの価格上昇傾向へ対抗する意味でも、とても前向きに考えてます。
チリワインはブーム復活の兆しが見える気がしますが、どう考えてもコストパフォーマンス高すぎでしょう。
1998年~1999年頃のあのずごかったチリワインブームが起こった理由のひとつは、当時フランスフランがユーロに切り替わったことに伴うフランスワインの価格上昇だったと言われてますが、それがホントだとしたら、為替的には今も似たような状況にあるのではないでしょうか。
私はチリのヤツらがどれだけ真剣に仕事に取り組んでいるかよーく知ってますし、素直に応援したいと思います。
そういえば先日、チリのある醸造家と話したのですが、こんなこと言ってました。
チリの超大手ワイナリーは、ぶどう栽培農家からぶどうを大量に購入する一方で、自社畑の取得を続けていました。
でついに最近、自社畑のぶどうだけで全生産量がまかなえるようになり、ぶどう農家からの購入を次々とやめているのだそうです。
その結果多くのぶどう農家が窮地に陥り、ぶどうの流通価格が暴落しているのだそうです。
このあたり、何か、皆が幸せになれるような形でウチの仕事にできないかな、と考えています。
それとチリといえば、日本との間で経済協定が成立し、協定が発効される今年から段階的に関税が撤廃されるそうですね。
お隣の韓国のワインの関税の高さは有名ですが、チリに関してはかなり昔から国家間協定ができてて、チリワインの関税はゼロだと聞いています。
で、チリワインが爆発的に売れてるそうです。
このへんの一連のことからも、チリワインブームが復活するかもしれないですね。
W:チリ以外の新世界はどうでしょう?
U:南アフリカの小~中規模のワイナリーのワインの品質は、凄まじいレベルに達していると思います。
でも南アフリカは市場規模も小さいですし、ウチでは絶対コンテナを作れません・・・笑
万一これを読んでいただいているインポーターさんで、同じような悩みをお持ちのところがあれば、混載で入れませんか?笑
真面目な話、私からすべての小さめのインポーターさんに電話して、「南アフリカ検討中ですかー?混載しませんかー?」って訊いてまわることもできませんので、どうかホントに、そういう会社さんありましたらお声掛けください。お願いします。・・・ってここでこういう募集をしてもいいんでしょうか?笑
それと、今年は久しぶりにアメリカに買付けに行くので今からとても楽しみです。
W:ヌーヴェル・セレクションがやるアメリカというのも面白そうですね。
U:総じて最近のアメリカのワインはエレガントで美味しいですよね。
カベルネとかもそうですが、むしろアメリカのほうがエレガントなワインを造るようになって、評価も高いですよね。対価格でのコストパフォーマンスも高いと思います。
それこそアメリカの景気がこのまま悪くなっていくようであれば、今はアメリカ国内だけで完売しちゃうようなワインも、日本に輸入できるチャンスも増えるんじゃないかな、と考えています。
W:何カ国語しゃべられるんですか?
U:どの言語もボチボチでしかないのですが、英語・フランス語・スペイン語ですね。でも仕事で使うだけで、ろくに新聞も読めないです。笑
W:上田さんご自身が直接現地の方とのコミュニケーションが取れるというのは素晴らしいですね。
本日はお忙しいところどうもありがとうございました。
これからも美味しいワインを供給し続けてください!
読者の皆様へ
インタビュー中にありました、
・美味しい日本酒
・日本のワインの作り手
・コンテナ混載希望のインポーター
などの情報がございましたら こちらからご一報お願いいたします。また、上田さんへの質問なども募集しております。
次回のインタビューは、先日リニューアルオープンした日本を代表するワインショップのひとつ、東急百貨店本店のシェフソムリエ、藤巻暁さんにお話をお伺いいたします。
お楽しみに!
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上田巨樹(うえだ・なおき)氏
1973年2月25日 山口県出身 上智大学外国語学部イスパニア語学科卒
山信商事株式会社在職中、チリ、ブルゴーニュへ駐在し、バイヤーとして活躍
2006年3月、(有)ヌーヴェル・セレクションを設立し、代表取締役に就任
趣味:将棋(3段、業界内でお相手募集中!) |
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【インタビュアー】 石井邦生(いしい・くにお)
叔父の酒屋を手伝ううちにワインに惹かれ、いつしか本気になってワインアドバイザーの資格を取得。調子に乗り、さらにワインショップやレストランで経験を積む。
このころにはワインの魅力にずっぽりはまり、この道で生きていくぞと決意。東急百貨店町田店ワイン売り場の専属スタッフを経てフリーになり、都内の百貨店にて販売に携わる。2006年には渋谷にワインバー『 Cabotte 』をオープン。 |
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