この造り手も以前は濃いつくりをしていたと思うのだが、だいぶ優しい造りに変わってきたようです。
世界的な流れなんですかね、やっぱり。
フレデリック・マニャンは1969年モレ・サン・ドニ村のドメーヌ・ミシェル・マニャンの5代目として生まれた。 17歳から畑やカーヴで父の手伝いをしながら、ボーヌにある醸造学校でワインを学んだという。 このころには、シャサーヌ・モンラッシェを代表する造り手の一人「シャサーヌの手本」とも呼ばれる、ドメーヌ・ジャン・ノエル・ガニャールでも働き、ブルゴーニュワイン造りの基本を学んだ。 更にブルゴーニュだけに拘らずカリフォルニアのカレラ、オーストラリアのバンノックバーンなどにも醸造研修に出かけている。 そして1993年、実家に戻り、父ミッシェルのドメーヌを任されるようになり、それまで収穫した葡萄の大半を協同組合に持ち込んでいたのを止め、元詰めに専念するようになった。 1995年には自分の理想のワインを造るため、自身の名前を冠したネゴシャンワインの生産に乗り出すこととなった。
テロワールの個性を自然な形で引き出す
「かつて研修したカレラではピノ・ノワールを造るために粘土石灰質土壌がある土地を探し回らなければならなかった。 しかし私達には探さずともそれが足元にある。」 カリフォルニアでブルギニヨンであることを再認識させられたのだという。 「でも、ブルゴーニュの特殊性を意識できているブルゴーニュ人が実は非常に少ないんだ。」 テロワールの価値を十分に理解している生産者の少なさに危機感を感じているよう。 フレデリックが自分のワインを、しかもネゴシャンワインを造ろうと決心した大きな理由は、ブルゴーニュという特殊な土地において、それぞれのアペラシオンを表現する最良のワインを造りたかったから。 彼の言う最良のワインとは、異なるテロワールの個性が自然な形で引き出されているワインであり、生産者の趣向や時々のトレンドを追うものでは決してない。 フレデリックの理想とするワイン造りに到達するには限られた畑では不十分であったのだろう。
ネゴシャンであることの優位性
自社の畑を所有しない彼は、アペラシオンそのものを表現するワインを造るためにどのようにして葡萄を手に入れているのか。 それは実に原始的で確実な方法である。 3月末、房はもちろん、葉もつけていない葡萄畑に、朝日が昇る前から自転車で出かけ、朝日が一番早く当たる区画(=日照量に恵まれた区画)を厳選するのだという。 クリュの境界線は完璧に頭に入っていて、 下層の土壌についても熟知している。 テロワールに拘り始めた頃から自然に葡萄畑を立体的にイメージできるようになったのだという。 そして最良の葡萄の生る樹を探すのだが、とりわけ樹齢40年以上のヴィエーニュ・ヴィーニュを中心に厳選するのだそう。 テロワールを表現するにはやはり樹齢が高く、根のしっかりと張った樹を選ばなければならない。 仕立てはできる限りコルドン・ド・ロワイヤルを選ぶ。 (グイヨに比べてコルドンは収量が低く品質に差が出るからだ。) 細かに観察し、決めた畑は所有者に直接交渉を持ちかける。 その際は所有者がバルクワインとして販売した金額を上回る代金を支払うのだという。 こうして最高品質の葡萄を手に入れる努力を惜しまず、ネゴシャンであることのメリットを最大限に生かし、毎年安定した高品質のワインを産するという新しいスタイルを確立してきた。 今では葡萄耕作会社を設立し、契約した畑での葡萄栽培を、自身を含め自前のスタッフで行うようになり、買付価格も抑えることが可能となっている。 ネゴシャンであることを最大限に活かしながら、畑、カーヴにおいては限りなくドメーヌに近いワイン造りを行っている。 他のネゴシャンにもドメーヌにも真似の出来ない手法である。
太陰有機法(Bio-Lunaire)
ワイン造りは基本的に有機や太陰有機法(Bio-Lunaire)にのっとって行われる。 太陰有機法とは、月の満ち欠けに合わせ各行程を進めていくということ。 その目的は地球のエネルギーをワインに最大限取り入れることによって最高の葡萄を造ること。 無農薬・有機栽培は勿論、月の運動により葡萄畑の作業を規定し、通常のビオロジックに、ビオディナミの考え方、天体運行によるビオディナミ・カレンダーを導入し、ビオロジーとビオディナミの中間に位置するワイン造りを実施している。(ラベルにデザインされた太陽と月と地球は自然の力を表現していて、ワイン造りは自然の流れと共にあるべきという彼の基本理念を表している。) 更に、ワインへのストレスを避けるために自然の重力を利用し破砕、圧搾、発酵までを行うグラヴィティシステム(重力移動システム)を採用している。 ピノ・ノワールは葡萄が到着すると同時に選果台で未熟や腐敗果実、虫や葉を取り除く房選りの後、除梗。 その後、もう1台の選果台上で果粒に残った果梗を手で除く。 葡萄の粒は破砕せず、800キロの容器に入れ、フォークリフトで持ち上げ、発酵用タンクヘと移す、どの行程でもポンプを使わず葡萄をやさしく扱う。 約15度で発酵前低温醸しの後、野生酵母のまま発酵を開始。 初期は空圧式のピシャージュ機で、大きな穴が開いたら後は手で擢を突きながら、果帽を崩す。 アルコール発酵が終了するとワインは小樽へ移される。 その間、酸化防止剤はで
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きる限り使用しない。 基本的にノン・フィルターでボトリング。 テロワールの違いを明確に表現するためAOCブルゴーニュからグラン・クリュまで醸造方法や樽の比率、熟成期間はほとんど変わらない。 彼は今、ビオディナミ実践団体「ビオ・リュネール」(会長:ピエール・マッソン。 メンバーにはドミニク・ラフォンらも)に所属し、更なる技術向上に努めている。
フレール社の3年乾燥熟成バリック
フレデリック・マニャンのワイン造りを語る上でもう一つ忘れてならないのがバリック。 サン・ロマンにあるクーパー、フランソワ・フレール社の特注バリックは世界中から注文が殺到する最高級のものであり、供給しているのは極わずかな選ばれた生産者のみ。 中でもフレール社製のバリックを100%使用しているのはドメーヌ・ド・ロマネ・コンティ、コント・ラフォン、ルロワ、そしてフレデリック・マニャンのみだという。 ワイン生産開始から2年間、色々なバリックを試し、このフレール社製の、しかも乾燥熟成期間が通常より長いドメーヌ・ド・ロマネ・コンティと同じ仕様のバリックが最も自分のスタイルに合うと判断し、フレール社を「自分が使うことでますます価値が上がる」と説き伏せたのだという。 使用する樫材は「木目の細かさ」に定評のあるフランス中部のアリエ産の樹齢120~140年のものを使用し、伐採は樹液の下がる冬期のみに限定されている。 通常2年のところを3年間乾燥熟成させ80%あった湿度を最終的に17~18%まで下げる。 「私がその樽を使うのは、それが、柔らかいタンニンとエレガントな果実味を目指す自分のスタイルに最もしっくりくるから。 樽はワイン造りの一工程に過ぎない」 フレデリックはこのバリックについて、自分から話すことはない。 本質を誤解されるのが嫌なのだという。
ヴィエーユ・ヴィーニュレンジの名は"おじいちゃん"
フレデリック・マニャンでは新たな試みとして各銘柄をユニークなネーミングでカテゴリー分けをした。 多くの銘柄を分かりやすく分類することで、フレデリック・マニャンの個性とフィロソフィーを明確にし、それを知ってもらうためだ。 中でも彼が特に強い思い入れを持っているのは"アイユル"。 テロワールを高い次元で表現するにはやはりヴィエーユ・ヴィーニュの存在は欠かせない。
ICONES [イコンヌ]
フレデリック・マニャンの基礎。ブルゴーニュ、赤、白を始めフレデリック・マニャンが自身のスタイルを表現するのに最適と考える村名銘柄のレンジ。コストパフォーマンスの高さが魅力。
CARACTERES [カラクテール]
Coeur de Roche=岩盤質、Couer de d'Argiles=粘土質など。それぞれ土壌タイプが明記されたレンジ。同じ村名でも土壌毎に異なる個性が楽しめる。
PURETE ETERNELLE [ピュルテ・エテルネル]
"永遠なる清純"と言う意味のビオディナミレンジ。畑が細分化されるブルゴーニュでは難しいとされるビオディナミだがフレデリックは周りの区画の農法にも気を配って畑を選定。完全なビオディナミを展開。ジュヴレ・シャンベルタンを中心に今後、より多くの銘柄にも取り組む。
AIEULS [アイユル]
"昔のもの、またはおじいちゃん"を意味する古語。文字通り樹齢40年以上のヴィエーユ・ヴィーニュが産む村名銘柄。古樹が産む葡萄の凝縮感、上品さを熟知するがゆえのフレデリック・マニャンこだわりのレンジ。
LES PREMIER [レ・プルミエ]
1級の中でも秀逸な畑の区画を厳選。フレデリック・マニャンの畑選びのセンスが表れるプルミエ・クリュ・レンジ。
~テラヴェール資料より~




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